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「採択の波紋/県立中に扶桑社教科書」


B戦争観めぐり賛否/一貫校志願動向に注目/保護者の反応

三重県桑名市の私立津田学園中学校。2001年8月、全国で初めて扶桑社版中学歴史教科書を採択、県内外に波紋を広げた。その同校で今春、入学志願者が倍増し、教育関係者を驚かせた。

 採択が志願者像に波及したのかどうか。同校の募集担当者は「詳しく分析したわけではないが、さほど(採択が)志願者像に貢献したとは思わない」と冷静な見方。だが、こうも付け加えた。「ただし、影響が全くなかったとも考えられない」

 今回の扶桑社版採択で、来春開校する本県の県立中高一貫校でも、志願者同校に及ぼす影響が注目される。扶桑社版は、その戦争観、歴史観などをめぐり賛否がはっきりと分かれるだけに、保護者らの反応も真っ二つだ。

 「扶桑社版なら自国に誇りを持つ子どもが育つ。歴史上の人物が生き生きと描かれており、子どもが自らの生き方も考えることができる」。小6の長女を持つ松山市久万ノ台の植田七千子さん(45)は、もろ手を挙げて採択を歓迎する。

 基礎学力の定着などの教育目標ももちろんだが、何より、扶桑社版教科書が採択されたから、子どもを一貫校に進学させたいと思う」と語る。「戦争賛美」との批判に対しては「(扶桑社版の)『戦争と現代を考える』と題したコラムで、日本の行為も記述されおり、当てはまらない」と首をかしげる。

 一方、中学生の娘を持つ松山市南白水、藤原富代さん(39)ん反応は全く逆だ。扶桑社版の複数の執筆者が自著や論文で「戦争の始め方、終わり方のすべてが国益を追求するゲームなのです」「過去の自分の戦争が正しかったことを一定程度理解することが、結局は、自分を守り、平和を維持することにつながるのです」…などと書いているのを知り驚いた。

 「過去の戦争に対する反省がまったく見られない。(扶桑社版を)ぱらぱらとめくっただけでは分かりにくいが、、執筆者の底意は、やはり戦争の肯定にあるのではないか」と危ぐする。扶桑社版を使う子供たちが、将来の日本を支える世代になることに危機感を覚え、7月、PTAの仲間と不採択を求める要望書を、県教委に提出した。

 ただ今回の採択をめぐっては、扶桑社版への関心の薄い保護者も数多い。県教委も志願者への影響を予測できない様子だ。県教委高校教育課は「志願者への影響は読めない。扶桑社版が戦争賛美だとか人権軽視だとかは考えておらず、仮に志願者が減るとするれば残念なこと」と話す。

 一貫校設立は、県教委が最も力を注いでいる本年度の最重点事項。しかし、扶桑社半裁宅により、本来論議すべき教育内容や教育目標以外の点で、注目を浴びることとなった。

 来年実施される一貫校の選抜試験の志願者数は、県民が県教委の採択結果を洞判断しているかを占う、一つの材料ともなる。

(2002/08/27 『愛媛新聞』より)