愛媛の教科書問題 > 愛媛の教科書問題「特集・オピニオン」

教科書より学び方自体改善を(2002/08/25 『愛媛新聞・門』より)
<松山市/泉谷 美智子(32)/小学校非常勤講師>

◆県教委が「つくる会」主導の扶桑社版歴史教科書を採択してから、本誌でも賛成派、反対派のさまざまな意見が紹介されている。私は扶桑社版教科書を読んでいないので今回採択された教科書に対して意見はしない。ただ一言いいたいのは、教室での主役は生徒であるということだ。

◆昨年デンマークの方から母国の歴史教育について話を聞く機会があった。彼女によると、授業では歴史上残されたさまざまな資料が教材で、それについて生徒同士が自分なりの解釈や意見を述べたり、討論するそうである。教科書もあるが、あくまで参考書のような使い方をすると言っていた。この話を聞いて「これこそ本来の学習ではないか」と感動すると同時に、「大学受験が立ちふさがる日本の教育現場でとり入れるのは難しいだろうな」とも感じた。

◆歴史にはさまざまな解釈が付き物で、何を事実とするかについて誰も完ぺきな答えを出すことはできない。それなのに、一部の人間の解釈のもとに書かれた教科書に国が「お墨付き」を与え、それをどれだけ暗記できたかが成績に反映される今の日本の歴史教育のあり方に大きな疑問を抱いている。県教委は「子供たちに日本人としての誇りを育てたい」と言っているが、学び取り方そのものを改善しなければ、いくら教科書を変えてみても誇りは生まれないだろうし、歴史そのものへの興味も育たないだろうと言いたい。