

愛媛の教科書問題 > 愛媛の教科書問題(4) 2005/03/31〜
◆<解説>松山市教委・「密室」手法に不信感/協議内容の検証必要◆
県都でもあり韓国・平澤(ピョンテク)市都の友好都市交流を始めたばかりの松山市とあって注目を集めた同市教育委員会の教科書採択は、歴史、公民とも扶桑社版以外の教科書が選ばれた。森山純一委員長は「公正・公平な採択ができた」と説明したが、採択日程さえ非公開とし、最後まで「密室」で進めた手法に不信感はぬぐえない。
松山市では、歴史問題が絡んで今夏予定した平澤市との相互訪問事業が延期され、交流に暗い影を落としていた。また前回の県教委教科書採択で「扶桑社がベスト」と発言した加戸守行県知事に近いとされる中村時広市町の言動にも注目が集まった。
こうした環境下の採択に森山委員長は「外野の声は問題にしなかった」と強調し、歴史、公民とも採択委員会の推薦教科書を採択。参考材料にとどめたとはいえ教員アンケートで現場教員の声も吸い上げた。中村市長も採択からは距離を置き続けたようだ。
ただし公式協議で、委員が十分に時間をかけて意見を交わしたかどうかは定かではなく、今後の検証が必要だ。
一方で会議だけでなく、日程も非公開とした市教委のやり方は、市民の視線を完全に遮断した格好。市教委は「秩序維持」を繰り返すだけで説得力ある説明はできていない。23日、公開で採択審議した新居浜市教委の対応とは対照的だ。
委員の間には「審議内容を公開してもよい」との考えもあった。「原則公開」の法の趣旨に反し、専門家などから違法性の疑いも指摘されながら非公開を貫いた姿勢には、土居貴美教育長や事務局の意向が強く働いたとみられる。
一連の対応では、大義名分さえあれば独善を許してしまう前例を残し、民主主義に支えられる教育委員会にとって大きな汚点となった。市教委は独立機関である以上、あしき前例を将来に引きずらないよう、誠実に自己検証し、市民に説明する責任がある。(社会部・武田亮、楠田浩司)
(2005/08/25 『愛媛新聞』より)