

愛媛の教科書問題 > 愛媛の教科書問題(4) 2005/03/31〜
◆松山市教委採択日程非公表/「法律上会議は公開」専門家違法性を指摘◆
中学教科書を採択する臨時会日程を非公開と表明して批判を浴びている松山市教育委員会。このほど「日程の公開は法令に明記がなく教育委員会の判断に委ねられる」などと根拠を示した。これに対し、教育行政の専門家は日程非公開の違法性を指摘。加えて市教委事務局内からさえ疑問視する声が漏れ聞こえる。
松山市教委は15日、市民団体の公開質問状に対する回答の形で「公式見解」を表明。日程非公開の理由を、教科書採択する委員会を公正公平で清ひつな環境下で開催できるよう配慮したなどと説明。地方教育行政法に「委員長が会議を主宰する」旨の記載があり、これを「主宰には会議の秩序維持が含まれる」などと解釈し、非公開の正当性を主張した。
この見解に専門家は異論を唱える。同法には「会議は公開する」とあり、日程についての定めはないが、日程も場所も知らせずに会議内容を公開することは現実にはあり得ないため、同法がうたう「公開」の中に開催日程は当然含まれているとの考え方だ。
愛媛大の横山信二教授(行政法)は「(松山市教委の見解は)法の抜け道でさえない。どんなにこじつけても違法性はぬぐえない」と指摘。愛知県の犬山市教育委員も務める名古屋大の中嶋哲彦教授(教育法)は「日程、場所、議題の事前公開は当たり前。そこまでの非公開を認めると公開の原則が空文化する」と批判する。
市教委事務局の中にも「公式見解には無理がある」と明かす職員は多い。「公開が正しいと思うが…」と苦渋の表情で作業に当たる職員もおり、非公開の根拠とする条文探しに数日を費やす内幕もあった。また、日程非公開が決定か方針課についても事務局内で認識が割れている状態だ。
教育委員5人は非公開に同意しているが、個別には「私では分からない」「教育長に聞いてくれ」などと事実上沈黙を保っている。
市教委への懸念は単に公開・非公開の問題にとどまらない。横山教授は「教育委員会は首長や政治から独立した権威の高い行政委員会」と位置付け、その独立が独裁に陥らないための担保が、透明性の確保であり法令の公開原則と指摘。
中嶋教授も「教育委員会の独立性の基本線には住民自治の考え方があり、住民に隠れて物事を進める手法は認められていない」と公開原則の重みを強調する。
地方教育行政法は教育委員会の存立の根拠であり、市教委会議規則もこれに準じて定められている。その同法と規則を犯すことは、教育委員会の存立基盤を失うことにつながる。市教委には混乱や危険性をできる限り避ける責任があるが、日程を非公開にしてまで目的を優先するような手法では代償が大きすぎる。(社会部・楠田浩司)
(2005/08/19 『愛媛新聞』より)