愛媛の教科書問題 > 愛媛の教科書問題(3) 2002/08/16〜

◆9月県議会を振り返って/(愛媛新聞・政治部・山根健一記者)◆


 9日閉会した9月定例県議会は、加戸守行県知事の再選出馬表明で始まった。昨年来、県政の耳目は次期県知事選への加戸知事の対応に集まっていただけに、出馬表明を受けた本会議質問戦は第1期かと県政の評価、選挙戦や2期目を意識した内容が軸になった。

 特に県政最大与党の自民は代表質問で、知事の政治姿勢をはじめ市町村合併や高速道路問題、景気対策などをきめ細かく質問し、2期目を視野に入れた知事の意欲や問題意識を引き出した。「質問戦での答弁を選挙戦の公約につなげたい」との自民のねらいは達成されたといえよう。

 注目されたのは、道路整備に関し積極推進の姿勢が強かった自民が「南宇和郡の市町村が、高速道路延伸の要望内容を2車線に落としているように、1.5車線の地方道路整備などを含む規格の見直し受け入れも考慮せねばならない」と現実路線を打ち出したこと。加戸知事も指摘してきた内容でもあり、議会と理事者の路線が一致したといえる。質問戦では、理事者の答弁に疑問符がつくケースが幾つかあった。中でも問題なのは、JR松山周辺鉄道高架事業が来年度概算要求枠から外れたことが分かっていたにもかかわらず、之に触れなかった土木部長答弁だ。

 土木部長は後日の建設委員会冒頭、「議会への説明不十分で配慮が足りなかった」と陳謝したが、「情報隠し」ととられても仕方なく、知事が訴える「徹底した情報公開」のかけ声も空虚になってしまう。「議会への説明不十分」というだけでなく、「県民軽視」の典型例だ。

 来春から県立中高一貫校で使用する中学歴史教科書(扶桑社版)をめぐっては、之まで態度を明確にしてこなかった公明が「反対」を表明した。採択を決めた教育委員の再任を求める人事案件には、与党でありながら社民が反対、公明が退席と、極めて異例の対応を見せた。

 教科書問題では、知事が昨年、「扶桑社版がベスト」との感想を教育長に伝えたことが、「教育委員会の判断に影響を与えた」などとして、教育基本法の定める「(教育への)不当な支配」に当たると批判を呼んだ。今議会でも、賛否それぞれの立場で積極的に発言、行動する議員がおり、解釈によっては「教科書採択への圧力であり、政治家の介入」ともいえる。一連の教科書問題は、「不当な支配」の解釈や政治がどれだけ教育にかかわることができるのかなど、いくつもの課題を積み残したままだ。

 疑問符は議会運営にもつく。条例案に対する阿部悦子氏(環境市民)の反対討論の申し出に対し、「一般質問で取り上げることができたはず」として受け付けなかった議会運営委員会の決定は、理由がよく分からない。「討論」を設定している意義が全くなくなるし、そもそも討論と質問は別物のはずだ。

 之までも、討論の可否判断は不透明な部分が少なくなかった。議運委では今後、討論や再質問のあり方を検討することとしたが、最低限のルールは必要としても、議会活性化の点から、自由度を増す方向での議論が求められて当然だ。

(2002/10/10 『愛媛新聞』より)