

愛媛の教科書問題 > 愛媛の教科書問題(2) 2002/08/15
◆大切な平和教えられない/「誇り持てる」と評価も/保護者は教師、賛否交錯
「やっと誇りの持てる教科書が採択された」「子どもの将来が不安」…。来春開校する県立中高一貫校の中学歴史教科書に15日、扶桑社版が採択されたことについて、県内の小学生児童を持つ保護者や教師はさまざまな反応を見せた。
小学生の子どものいる宇和島市の自営業男性(47)は「反対派がいうような戦争を賛美したり奨励したりするような記述はない。日本人として誇りの持てる教科書。やっと採択された感がある」と評価。「悪いことばかり強調した教科書によって自虐的で、自信や誇り、将来に希望の持てない子どもが育ち、モラルの欠如や犯罪多発など、さまざまな問題を招いているのではないか」とみる。
一方、6年生の子どもが一貫校を志望している今治市の主婦(40)は「一貫校の歴史教育に不安を感じる。扶桑社版で戦争の悲惨さを教えられるのか、教師の責任は重大だ」と疑問をはさむ。
また、5年生の子どもを持つ松山市内の母親(42)も「高校受験を考えると、一貫校への入学も選択肢に考えていたが、(採択で)拒否感が強まった」と語る。戦争賛美と指摘されている内容に触れ、「子どもたちは先生のいうことを素直に受け入れるだけに、うのみにされると困る」と漏らす。
学校現場でも、不安感が広がっている。「授業は、教師と子どもたちの信頼関係があってこそ成り立つ」と言う松山市内の中学校男性教師(50)は「この教科書では、授業が成り立たなくなることは目に見えている」と不安を隠さない。「賛否分かれており、保護者や子どもからも、扶桑社版は使いたくないとの声が出るだろう。1人でも、そうした声があれば、押しつけはできない」と戸惑う。
また長年、歴史を教えてきた東予地方の公立中の教師(59)は「私が教えている教科書では、国際交流が大きなテーマ。アジア諸国との友好の大切さについて教えているが、扶桑社版はアジアを批判的に見ており、平和・人権教育上問題だ」と批判。
さらに「国際社会と協調して国際的に名誉ある地位を占めることこそが、21世紀に日本が求めるべき本当の誇りではないか」と憤っている。