

愛媛の教科書問題 > 愛媛の教科書問題(2) 2002/08/15
◆中高一貫校に扶桑社版/歴史教科書/県教委、採択広げる/委員6人全員一致/全国公立中で初!
来春開校する県立中高一貫校の中学歴史教科書採択で、県教育委員会(井関和彦委員長、6人)は15日、定例会を開き、賛否の議論を呼んでいる「新しい歴史教科書をつくる会」主導の扶桑社版教科書を全会一致で採択した。県教委は昨年、県立ろう・養護学校の一部でも同教科書を採択したが、全国の一般の公立中学校で、扶桑社版を採択したのは初めて。
来春開校する全国の公立中高一貫校のうち、教科書採択があると見られるのは8県11校。しかし、現在のところ、扶桑社版採択の動きはなく、採択は愛媛だけとなる可能性が高い。
採択理由について、会見した井関和彦委員長は「日本語の起源や神話など、日本独特の文化があり、先人の智恵と努力のたまものと述べられている」と説明。「文部科学省の学習指導要領の目標に最も合致している」と評価した。吉野内直光教育長ら5人の教育委員も全員、指導要領に沿っている点を理由に挙げた。
定例会は開会後約20分間、6人の傍聴者や報道陣に公開されたが、その後の教科書審議は「委員の率直な意見交換と意思決定の中立性を保つため」非公開となった。
井関委員長によると、一貫校の教科書審議は、約2時間20分の定例会の中で約1時間半。そのうち歴史教科書の審議が大半を占めた。採択された教科書は、扶桑社版も含め、いずれも県教委の事務局案通りだったという。県教委は採択ご、直ちに文部科学省にファクスで報告した。
新たに扶桑社版を使用するのは、県立中高一貫校3校(今治東、松山西、宇和島南)。対象は来年度の入学生計約480人。次回の一貫校の教科書採択は、全国の市町村立中学校の採択と同様、2005年に行われる。
扶桑社版の公民教科書については「大阪書籍版の方が、記述がわかりやすく、生徒が社会的事象に興味を持ちやすい」(県教委高校教育課)などの理由から、事務局案の候補に上がらなかった。
同日は、すべての県立高校・盲・ろう・養護学校の高等部で使用する教科書も採択。扶桑社版と同様に賛否の議論がある明成社版「日本史B」は、「カリキュラム上、(来春の入学生は)日本史を選択しない」(吉野内教育長)ため採択されなかった。
県教委は昨年8月8日にも、県立ろう・養護学校の一部で扶桑社版歴史教科書を採択。同教科書をめぐっては「戦争を賛美している」などの批判があり、報告期限の15日まで、反対派市民団体が激しい撤回運動を繰り広げたが、今年は大きな混乱はなかった。