

愛媛の教科書問題 > 愛媛の教科書問題(1) 2001/08/08〜2002/08/14
◆扶桑社版歴史教科書/琉球大教授ら調査/121カ所を自主訂正◆
琉球大教育学部の高島伸欣教授らは30日、文部科学省内で記者会見し、扶桑社版歴史教科書について、文科省の検定に合格した後、本文や見出しでの事実・内容上の間違いなど「本来、検定意見に加えられるべき」計121カ所の自主訂正が行われていたことが分かった、と発表した。
民主党国会議員が同省から得た資料をもとに調べた結果、判明したという。訂正は、教委が採択を決める際に利用する見本本の作成の際(46カ所)と、その後実際に中学で使われる生徒用の本(供給本)の発行段階(75カ所)で行われた。
供給本段階での訂正は検定合格8社中最多で、2番目に多い社の約4倍。高島教授らは「検定自体がずさん。合格は不当を言わざるを得ない」とし、養護学校などの一部で同教科書を採択した愛媛県教育委員会などの「判断も問われる」と話している。
主な訂正では、見本本が第一次世界大戦中、地中海で日本駆逐艦が連合国船舶のたてとなって魚雷で撃沈されたなどと記述していたのが、供給本では「撃沈された連合国船舶の救助活動で、大きな功績を挙げたが、別の任務の帰路、潜水艦の魚雷攻撃をうけ、60名近い戦死者がでた」とされた。高島教授は「見本本は史実に完全に反した内容」と指摘。
また、ゴッホは「フランスの画家」(見本本)から「オランダの画家」(供給本)に訂正するなど、初歩的な間違いも多いとしている。
中国、韓国が修正を求め、文科省が拒否をしていた個所の一部についても、「李氏朝鮮」を「朝鮮国(李氏朝鮮)」などと訂正している。会見に同席した関西大の上杉聡講師は「外交上の信頼関係を裏切る対応だ」と批判している。
扶桑社版歴史教科書は昨年4月、文科省の検定意見を受け、137個所を修正して合格した。
高島教授は高校用現代社会の教科書検定で表現の自由を侵害されたとして国家賠償を求めた「横浜教科書訴訟」の原告。
▼「訂正数に意味はない」・・・大槻達也・文科省教科書課長の話し・・・
毎回、検定後の自主訂正は非常に多いのが実態。訂正した数を数えること自体、意味がない。中国、韓国の修正要求と自主訂正内容が重なった点に関しては、各社がより改良したいと言っているのを止めることはできない。
▼「より良いもの供給」・・・扶桑社書籍編集部の話・・・
各社の教科書は検定後も正誤訂正が行われており、当社も文科省の規則に従い訂正を行った。これにより、より良い教科書が供給できたと思っている。中国、韓国から修正要求があった個所については、独自に判断して自主訂正した。
(2002/07/31 『愛媛新聞』より)