愛媛の教科書問題 > 愛媛の教科書問題(1) 2001/08/08〜2002/08/14

◆「つくる会」教科書採択無効求め県教委提訴/「知事介入は不当」◆


 県教委が「新しい歴史教科書をつくる会」主導の歴史教科書(扶桑社版)を県立ろう・養護学校の一部で採択することを決めた問題で、決定には行政権力者の加戸守行知事の発言が影響しており、不当介入を禁じた教育基本法に反し無効として、韓国の大学講師や県内住民らで組織する市民グループら計56人が18日、県教委と当時の委員6人を相手に、同教科書の採択無効を求める行政訴訟を松山地裁に起こした。

 訴えたのは、「日本の教科書を正す運動本部」(ソウル)の11人と、「新しい教科書と教育を考える市民ネットワークえひめ」のメンバーら45人。

 訴えによると、加戸知事が吉野内直光・県教育長に「扶桑社版がベストだろう」と何度も述べたことが教科書採択に影響し、独立して行われるべき採択に知事の意図的かつ不法な介入があった。さらに、30分足らずで行われた採択決定は、文書での採択理由提示や採択過程・手段の公開などの適正な手続きを全く欠く、などとしている。

 会見した原告の奥村悦夫さん(49)=今治市南高下町=は「約32000人分の反対署名を提出したが、県議会で理事者側が『撤回はない』と発言したため、提訴に踏み切った。公正さを欠いた採択の現実を法廷で明らかにすれば、おのずと撤回になるだろう』と述べた。

 原告で成均館大学(ソウル)の李信K講師(37)=韓国近現代史=は『韓国と日本との関係がより良くなることを願っているが、同教科書が愛媛県の教室で使われることは、その流れの障害となる。裁判で良い結論を出し、両国の交流がより深まれば』と話した。

 提訴後、原告10人は2月定例会開会中の県議会議事堂に、井関和彦県教育委員長を訪ねたが、面会できなかった。吉野内県教育長も『公務で不在中として会えず、県職員らの間で約1時間、押し問答が続いた。吉野内教育長は『訴状を見て適切な対応をする。採択は正しかった」と話している。

(2002/03/19 『愛媛新聞』より)